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内部分析
財務諸表の見方に続いて、財務分析の方法を教えてください。
2015-04-23 00:00:00
経営分析を行う目的は、病院の経営実態を適時把握することにより、的確な意思決定を行うためと言えます。病院では、財務諸表から得られる数値を経営指標として加工し分析する財務分析に加えて、病床利用率や平均在院日数など医事統計に関わる分析も重要となります。
財務分析は、一般に収益性、生産性、安全性の3つ視点から分析を行います。
1.収益性分析
収益を向上させているかどうかを判断します。医業収益対医業利益率は、医業活動により得られた収益から費用を差し引いた医業損益を医業収益で割ることで算出されます。会計期間における病院の医業活動の結果を表すため大変重要な指標です。
医業収益対医業利益率(%)=(医業収益-医業費用)÷医業収益×100
もしもこの段階でマイナスの場合、後に計上される借入金の利息を支払う前段階で赤字のため、赤字の理由が臨時的なものでない限り経営に大きな問題があることがわかります。この他にも対経常利益率や対税引前利益率、対純利益率を算出し、変化を見ることで収益に関する各段階の経営状態がわかります。
さらに、収益性分析において確認したいのは、費用の内訳科目を医業収益で割った医業収益対各医業費用比率です。内訳科目とは、人件費、材料費、経費、委託費、研究研修費、減価償却費のことです。特に人件費率は、医療機関における費用の中で最も大きい費用であり、一般には50%を超えると良好な経営成績を残すことが難しくなると言われているため、管理を徹底する必要のある費用項目です。
医業収益対各医業費用比率(%)=人件費等÷医業収益×100
2.生産性分析
労働力や設備投入に対して付加価値を生み出せているがどうか判断します。人件費が50%に達する病院経営では、職員一人当たり年間給与費に加えて、医師及び看護師一人当たりの給与費を捉えておくことが重要です。理由として、医師の増減はたとえそれが一人であっても収益に大きな影響を及ぼし、看護師は病院の職員の中で最も人数が多いからです。
続いて、労働生産性と労働分配率を以下の式で算出してみましょう。付加価値の算定方法には様々な方法(中小企業庁方式、日銀方式)がありますが単純に医業利益として計算しても良いでしょう。
労働生産性(円)=付加価値÷従業員数
労働分配率(%)=人件費÷付加価値×100
労働生産性は、職員一人当たりが生み出した付加価値(医業利益)を表し、高いほど投入された労働力が効率的に利用されていると言えます。労働分配率は、付加価値を生み出すのに用いた人件費の割合を表します。よって、人件費率の上昇を招きやすい病院経営にとって、付加価値の上昇ペースが追い付いているかどうかを判断できるため必ず見ておきたい指標の一つです。
3.安全性分析
主に貸借対照表を用いて、資産や負債の構成が適切であるかどうかを判断します。自己資本比率は、総資産のうち返済が不要である自己資本(純資産)が占める割合を示す指標です。高いほど外部からの資金調達に依存せず債務が少ないため、財政基盤が安定していると言い換えることができ、50%以上が望ましいと言われています。
自己資本比率(%)=自己資本÷総資産×100
固定長期適合率は、固定資産を自己資本+固定負債で除した数値です。設備投資などの固定的な投資に対して自己資本と固定負債のバランスを見ることができます。病院経営における土地や建物、医療機器等の固定資産投資は、回収するのに時間がかかることから、固定資産を自己資本と固定負債で賄える範囲で運用する方が良いとされています。
固定長期適合率(%)=固定資産÷(自己資本+固定負債)×100
自己資本比率と固定長期適合率は長期的な視点を持った安全性分析になりますが、短期的な視点を持つものに流動比率があります。流動比率は流動資産を流動負債で除した数値で短期的な負債に対して支払い能力があるかどうかを判断します。
流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100
つまり、1年以内に支払う必要のある負債に対して現金化できる資産がどの程度確保されているのかがわかります。流動性を確保するためには、流動資産が流動負債の2倍以上ある(200%以上)が望ましいと言われています。
以上、財務分析のやり方について説明しました。この他にも様々な経営指標がありますが、病院経営の大まかな状態を代表的な指標で確認し、必要に応じてその他細かい指標を用いて分析するというやり方が効率的だと思います。
ご相談は病院コンサルタントをご指名いただけます。
http://www.iryoken.co.jp/hospital/consultant/index.html
財務分析は、一般に収益性、生産性、安全性の3つ視点から分析を行います。
1.収益性分析
収益を向上させているかどうかを判断します。医業収益対医業利益率は、医業活動により得られた収益から費用を差し引いた医業損益を医業収益で割ることで算出されます。会計期間における病院の医業活動の結果を表すため大変重要な指標です。
医業収益対医業利益率(%)=(医業収益-医業費用)÷医業収益×100
もしもこの段階でマイナスの場合、後に計上される借入金の利息を支払う前段階で赤字のため、赤字の理由が臨時的なものでない限り経営に大きな問題があることがわかります。この他にも対経常利益率や対税引前利益率、対純利益率を算出し、変化を見ることで収益に関する各段階の経営状態がわかります。
さらに、収益性分析において確認したいのは、費用の内訳科目を医業収益で割った医業収益対各医業費用比率です。内訳科目とは、人件費、材料費、経費、委託費、研究研修費、減価償却費のことです。特に人件費率は、医療機関における費用の中で最も大きい費用であり、一般には50%を超えると良好な経営成績を残すことが難しくなると言われているため、管理を徹底する必要のある費用項目です。
医業収益対各医業費用比率(%)=人件費等÷医業収益×100
2.生産性分析
労働力や設備投入に対して付加価値を生み出せているがどうか判断します。人件費が50%に達する病院経営では、職員一人当たり年間給与費に加えて、医師及び看護師一人当たりの給与費を捉えておくことが重要です。理由として、医師の増減はたとえそれが一人であっても収益に大きな影響を及ぼし、看護師は病院の職員の中で最も人数が多いからです。
続いて、労働生産性と労働分配率を以下の式で算出してみましょう。付加価値の算定方法には様々な方法(中小企業庁方式、日銀方式)がありますが単純に医業利益として計算しても良いでしょう。
労働生産性(円)=付加価値÷従業員数
労働分配率(%)=人件費÷付加価値×100
労働生産性は、職員一人当たりが生み出した付加価値(医業利益)を表し、高いほど投入された労働力が効率的に利用されていると言えます。労働分配率は、付加価値を生み出すのに用いた人件費の割合を表します。よって、人件費率の上昇を招きやすい病院経営にとって、付加価値の上昇ペースが追い付いているかどうかを判断できるため必ず見ておきたい指標の一つです。
3.安全性分析
主に貸借対照表を用いて、資産や負債の構成が適切であるかどうかを判断します。自己資本比率は、総資産のうち返済が不要である自己資本(純資産)が占める割合を示す指標です。高いほど外部からの資金調達に依存せず債務が少ないため、財政基盤が安定していると言い換えることができ、50%以上が望ましいと言われています。
自己資本比率(%)=自己資本÷総資産×100
固定長期適合率は、固定資産を自己資本+固定負債で除した数値です。設備投資などの固定的な投資に対して自己資本と固定負債のバランスを見ることができます。病院経営における土地や建物、医療機器等の固定資産投資は、回収するのに時間がかかることから、固定資産を自己資本と固定負債で賄える範囲で運用する方が良いとされています。
固定長期適合率(%)=固定資産÷(自己資本+固定負債)×100
自己資本比率と固定長期適合率は長期的な視点を持った安全性分析になりますが、短期的な視点を持つものに流動比率があります。流動比率は流動資産を流動負債で除した数値で短期的な負債に対して支払い能力があるかどうかを判断します。
流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100
つまり、1年以内に支払う必要のある負債に対して現金化できる資産がどの程度確保されているのかがわかります。流動性を確保するためには、流動資産が流動負債の2倍以上ある(200%以上)が望ましいと言われています。
以上、財務分析のやり方について説明しました。この他にも様々な経営指標がありますが、病院経営の大まかな状態を代表的な指標で確認し、必要に応じてその他細かい指標を用いて分析するというやり方が効率的だと思います。
ご相談は病院コンサルタントをご指名いただけます。
http://www.iryoken.co.jp/hospital/consultant/index.html

