HMIレポート
医療機関が押さえておきたい5つの補助金・税制(2022年度)
医療編 2022.6月作成時点
本編では、補助金に関するポイントとして、「1.補助金とは何か」を確認し、「2.補助金申請の留意事項」「3.補助金活用の視点」「4.5つの補助金・税制(2022年度)の概要」を整理していきます。作成時点における内容の担保はできますが、年度が替わると補助金・税制に関する情報は劣化するため、その点はご留意ください。
確認 Keyword
・医療提供体制に係る新型コロナ補助金
・地域医療介護総合確保基金(医療分)に係る補助金
・IT導入補助金
・雇用関係助成金
・高額な医療用機器の特別償却制度
1.補助金とは何か
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「補助金」とは、国の政策目標を達成するために、その目的にあった事業を行う事業者に対し、実施のサポートのために支給(交付)されるお金です。原則、返済不要なお金が交付されるため、事業者が取り組みをスタートさせたい場合や導入を躊躇している場合の経済的なインセンティブとなり、事業者の事業展開や拡大のサポートとして位置付けることができます。
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「補助金」は、「給付金」のように申請すれば誰でももらえるものではなく、公益性が求められ、一定の要件が設けられたり、審査が必要になります。また、「補助金」と「助成金」の違いはほとんどありませんが、「補助金」は予算枠がある中で、公募方法により先着順や抽選、審査になるなど、申請してももらえない可能性もあります。他方、「助成金」は受給要件を満たせば、ほぼすべてに支給される傾向があります。
2.補助金申請の留意事項
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「補助金」の申請にあたっては、公募期間(申し込み時期)や対象者、要件を確認する必要があります。前年度の募集要項があれば、当年度も同時期に公募がかかると予想することが可能です。
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交付においては、「虚偽の申請による不正受給」や「補助金の目的外利用」、「補助金受給額を不当に釣り上げ、関係者へ報酬を配賦する」といった不正な行為が判明した場合、交付規程に基づき交付決定取消となるだけでなく、補助金交付済みの場合、加算金を課した上で当該補助金の返還が求められる点に留意しなければなりません。交付決定の取消しを受けた者は、不正内容の公表等を受けることや「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」第29条に基づき、5年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金または両方に処せられる可能性があります。
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3.補助金活用の視点
- 医療機関における医療サービス、患者への医療提供は公益性が高く、他業種よりも補助金が多いといえます。そして、今般のコロナ禍における医療提供体制の強化には、医療現場の確実な協調と協力が不可欠であり、補助金・助成金に加え、優遇税制による後押しがなされている状況です。
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「補助金ありきの整備ではない」点はもちろんですが、「補助金情報を知っていれば得をする」ケースもあるため、何か事業を始める際、何か機器を導入する際、新しく人材を採用する際などにおいて、『公益性があるか否か』を指標にすることで、補助金の有無が判別できるようになります。
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4.5つの補助金・税制(2022年度)の概要
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▼医療提供体制に係る新型コロナ補助金
概要新型コロナウイルス感染症患者及び感染が疑われる方を医療機関が円滑、適切かつ確実に受け入れる体制を確保することで、新型コロナウイルス感染症対策に係る医療提供体制を強化するために実施。対象重点医療機関、入院患者受入医療機関、ワクチン接種医療機関など申請先各都道府県 感染症対策課(各HP)種類(都道府県により名称が異なる場合あり)1.重点医療機関体制整備補助金2.入院患者受入病床確保事業3.新型コロナウイルス感染症患者受入医療機関支援補助金4.重点医療機関等設備整備事業5.新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関設備整備事業6.帰国者・接触者外来等設備整備事業7.感染症検査機関等設備整備事業8.新型コロナウイルス感染症を疑う患者受入れのための救急・周産期・小児医療体制確保事業9.新型コロナウイルス感染症クラスター対策支援給付金事業10.臨時転換型重症病床病院における看護師出向事業11.新型コロナウイルスワクチン接種体制支援事業(個別接種促進のための支援)▼地域医療介護総合確保基金(医療分)に係る補助金
概要地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため2014年度から消費税増収分等を活用した財政支援制度として各都道府県に設置。医療分では、地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設または設備の整備に関する事業を対象とする。対象医療機関申請先各都道府県 医療政策課(各HP)種類(都道府県により名称が異なる場合あり)1.地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設又は設備に関する事業ICTを活用した地域医療ネットワーク基盤の整備、病床の機能分化・連携を推進するための基盤整備など2.居宅等における医療の提供に関する事業在宅医療の実施に係る拠点の整備、かかりつけ医育成のための研修やかかりつけ医を持つことに対する普及・啓発、認知症ケアパスや入退院時の連携パスの作成など認知症ケア等に関する医療介護連携体制の構築など3.医療従事者の確保に関する事業医師の地域偏在対策、診療科の偏在対策、医科、歯科連携のための事業等、看護職員等の確保のための事業、医療従事者の勤務環境改善のための事業 等▼IT導入補助金
概要中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合った労働生産性の向上に資するITツールを導入する経費の一部を補助して業務効率化・売上アップをサポート。【参考】IT導入補助金2022:https://www.it-hojo.jp/対象中小企業・小規模事業者等(出資金5,000万円以下または従業員100人以下の医療機関)申請先中小企業庁 サービス等生産性向上IT導入支援事業(導入ツールのベンダーが申請支援)種類1.通常枠(A・B類型)2.デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)▼雇用関係助成金
概要労働者の職業を安定させるため、失業の予防、雇用機会の増大、障害者の雇用、労働者の能力開発を図る。雇用保険適用事業所の事業主であることが前提。対象雇用保険適用事業所の医療機関申請先都道府県労働局(顧問の社労士に要相談)種類1.雇用維持関係2.再就職支援関係3.転職・再就職拡大支援関係4.雇入れ関係5.雇用環境の整備関係等6.仕事と家庭の両立支援関係等7.人材開発関係▼高額な医療用機器の特別償却制度
概要設備取得の初年度に普通償却費に加え、特別償却費を追加で償却できる制度。設備投資の初年度に係る税負担を和らげ、初期のキャッシュフローを改善する(将来の減価償却費を先取りする)。対象青色申告書を提出する医療機関(利益があって法人税・所得税を納めている法人・個人)申請先都道府県での確認後、納税地を所管する税務署に申請(顧問の税理士に要相談)種類1.医師及びその他の医療従事者の労働時間短縮に資する機器等の特別償却制度2.地域医療構想の実現のための病床再編等の促進に向けた特別償却制度3.医療用機器の効率的な配置の促進に向けた特別償却制度
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