医療DX令和ビジョン2030の初会合を開催、医療DX推進の三本柱を解説(厚労省)
2022/09/22
※医療DXの最新情報は「医療DXのポイント厳選・早わかり解説」をご参照ください。
厚労省は9月22日、医療DX令和ビジョン2030厚生労働省推進チームの初会合し、医療DXの推進に向けた今後の取組について審議した。
参加メンバーは厚労大臣、事務次官、医務技監等で、本会議は内部会議として、医療DXの推進に向けた取組の状況や今後の進め方等について、率直な意見交換や意思決定を行えるよう非公開とした。
今回の初会合では、厚生労働省推進チームやそのタスクフォース、政府の医療DX推進本部とその幹事会の関係性をはじめ、医療DXに関する当面のスケジュール案を整理しつつ、医療DXの定義、医療DX推進の三本柱のポイントを確認した。タスクフォースは、「電子カルテ・医療情報基盤」と「診療報酬改定DX」を設置する。
医療DXとは、「保健・医療・介護の各段階(疾病の発症予防、受診、診察・治療・薬剤処方、診断書等の作成、診療報酬の請求、医療介護の連携によるケア、地域医療連携、研究開発など)において発生する情報やデータを、全体最適された基盤を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えること」と定義した。
医療DXは、医療DX推進の三本柱である「全国医療情報プラットフォーム」「電子カルテ情報の標準化」「診療報酬改定DX」を骨格に、国民による自らの保健・医療情報(介護含む)への容易なアクセスを可能とし、自らの健康維持・増進に活用いただくことにより、健康寿命の延伸を図るとともに、医療の効率的かつ効果的な提供により、診療の質の向上や治療等の最適化を推進する。
また、今般の新型コロナウイルス感染症流行に際して開発された既存のシステムも活用しつつ、医療情報に係るシステム全体として、次の感染症危機において必要な情報を迅速かつ確実に取得できる仕組みを構築する。
「全国医療情報プラットフォーム」では、オンライン資格確認システムのネットワークを拡充し、レセプト・特定健診情報に加え、予防接種、電子処方箋情報、電子カルテ等の医療機関等が発生源となる医療情報(介護含む)について、クラウド間連携を実現し、自治体や介護事業者等間を含め、必要なときに必要な情報を共有・交換できる全国的なプラットフォームとする。これにより、マイナンバーカードで受診した患者は本人同意の下、これらの情報を医師や薬剤師と共有することができ、より良い医療につながるとともに、国民自らの予防・健康づくりを促進できる。さらに、次の感染症危機において必要な情報を迅速かつ確実に取得できる仕組みとしての活用も見込まれる。
「電子カルテ情報の標準化」では、厚労省標準規格として採択した3文書6情報【3文書:診療情報提供書、退院時サマリー、健診結果報告書、6情報:傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報(救急時に有用な検査、生活習慣病関連の検査) 、処方情報】の範囲の拡張を推進する。併せて、今後、小規模の医療機関向けに、当該標準規格に準拠したクラウドベースの電子カルテ(標準型電子カルテ)の開発を検討する。2022年度は関係者へのヒアリングを実施しつつ、2023年度の調査研究事業を実施する予定とした。
「診療報酬改定DX」では、ベンダや医療機関等において診療報酬改定に短期間で集中的に対応するため、大きな業務負荷が生じている現状を改善するため、改定施行日(4/1)からの患者負担金の計算に間に合うようにソフトウェアを改修する必要があり、各ベンダがそれぞれ行っている作業を1つにまとめて効率化していくことが主たる目的となっている。